2026.10.08 POSTED

第31回 釜山国際映画祭 海外初上映に観客から熱い反響!
片野坂 亮監督、舞台挨拶レポートが到着!

映画『しらぬひ』が、韓国で開催中の第31回釜山国際映画祭(10月6日~15日)に登場!片野坂 亮監督が、10月6日(火)のオープニングイベントと、7日(水)の公式上映に参加しました。

今回『しらぬひ』は、現代映画界でますます存在感を高めるアニメーションの潮流を背景に、その世界的な一大拠点である日本に焦点を当てた特別企画「日本アニメーション特別展:狂気の傑作、戦慄の期待作12+1」に選出されました。

世界の映画人が集結するオープニングイベントに片野坂 亮監督が登場!

10月6日(火)、映画祭の開幕を飾るオープニングイベントが、メイン会場となる映画の殿堂(Busan Cinema Center)で開催。世界各国から俳優や監督が集まり、日本からも是枝博和監督や俳優の横浜流星さん、長澤まさみさん、沢尻エリカさんなどをはじめとする映画人が集結し、多くの観客とメディアが詰めかける中、『しらぬひ』の片野坂 亮監督もレッドカーペットに登場しました。

黒のタキシードで姿を見せた片野坂監督は、壇上から両手で大きく手を振って観客に応えるなど集まった観客やメディアに笑顔で応えながらレッドカーペットを歩き、晴れやかな表情でフォトコールを行いました。自身の監督作を携えて参加する初めての国際映画祭の、華やかな幕開けを迎えました。

今回の特別企画では、『銀河鉄道999』などで知られる日本アニメーション界の巨匠・りんたろう監督とともに、これからの日本アニメーションを担う次世代の監督たちが釜山に集結。日本アニメーションの歴史を築いてきた作品と、これからの可能性を感じさせる新作を一堂に紹介する映画祭ならではの機会に、『しらぬひ』もその一本として世界各国から集まった映画ファンに披露されることとなりました。

■『しらぬひ』公式上映を実施!
10月7日(水)には、CGV Centum Cityにて『しらぬひ』の公式上映が行われました。
海外初上映となるインターナショナル・プレミアを迎え、釜山の映画ファンが見守る中、いよいよ『しらぬひ』が釜山の観客に向けて上映!

そして本編上映を終えると、温かな拍手が会場を包み、涙を流す観客の姿も。余韻が残る中、片野坂監督が登壇し、観客とのQ&Aが行われました。
「はじめまして。『しらぬひ』の監督の片野坂 亮です。本当にいろいろな意味でチャレンジングな作品で、人それぞれいろんな思いを抱く作品だと思いますが、観ていただいて本当にありがとうございます」と挨拶した監督に、会場からは拍手。Q&Aでは、作品を生み出すきっかけや、父・マサルが湊に抱く複雑な愛情、子どもの純粋さとそのアニメーションでの表現、声優陣のキャスティングなど、作品を観終えたばかりの観客から次々と質問が寄せられました。

中でも劇中で描かれる子どもの“純粋さ”についての質問に、「邪悪な子どもとして描こうとは思っていません。純粋だからこそ悪にもなれるし、純粋だからこそ環境によって形が変わる。子どものそうした素直さを描こうとした結果、あのような表現になりました」と、作品に込めた思いを語りました。
また、なぜこの作品を作ろうと思ったのかという問いに、片野坂監督は、劇中に登場する海のそばに建つ小学校が熊本に実在することを明かし、「すごく映画的な素敵な風景だなと思って、20代の頃から、いつかここで映画を撮りたいと思っていました」とコメント。また、年齢を重ね「あの場所で作品を作りたいという思いと、一生懸命誰かを愛そうとする人たちの“愛のすれ違い”を描きたいと思ったことが始まりでした」と、長年抱いてきた構想と作品誕生の背景を明かしました。

さらに、湊役にあのを起用した理由について、「いろんな声を出すことができて、若い人たちの痛みを歌にしている。人間の心の痛みを、心から表現できる方だと思った」と語るなど、客席からは具体的なキャラクターやシーンについての質問が次々と上がり、予定時間いっぱいまで観客と監督とのやり取りが続くなど、国境を越えて作品を受け取った観客と監督が直接言葉を交わす貴重な時間となりました。

Q&Aの最後に、片野坂監督が「初めてアニメーションを作り、初めて海外の方に観ていただく経験をして、人生こんなことがあるのかという思いで、今もすごく幸せな気持ちです」と感慨深げに語り、「皆様からいただいた幸せな気持ちを、これから作品を作る中で、もっと喜んでほしい、もっといろいろ感動してほしいという思いにつなげて、これからも作り続けられたら」と、釜山の観客への感謝と今後の創作への思いを明かしました。

日本で生まれた36分の短篇アニメーション『しらぬひ』が、海を越えて出会った釜山の観客たち。オープニングイベントのレッドカーペットから公式上映、そして観客とのQ&Aまで、片野坂監督にとって初めての釜山国際映画祭は、忘れがたい経験となりました。
さらに『しらぬひ』は、第59回シッチェス・カタロニア国際映画祭での特別上映も決定しています。日本から韓国、そしてスペインへ――世界へと歩みを進める『しらぬひ』に、引き続きご注目ください!

<釜山国際映画祭、公式上映後の観客とのQ&A)抜粋>

観客(司会):
この映画をかなり前から作りたいと思っていたと伺いました。どのようにこの映画を思いつき、実際の制作へとつながっていったのか、全体的なお話を聞かせていただけますか?

片野坂監督:
最初に、僕が熊本で作品を作りたいと思ったのは、あの海の上にある小学校。あれが実際にある小学校で、すごく映画的な素敵な風景だなというところで、ここで映画がいつか撮りたいっていうのは20代の頃から思っていて。
そして自分が年を取って、コロナウイルスのパンデミックが起きた時に、もともと僕は実写映像をやっていたんですけども、仕事がなくなり、アニメーションを独学で学んでいる時に、いろんな人と出会い、別れを経験する中で、人の愛のすれ違いを描きたいと思うようになりました。一生懸命に人を愛そうとする人たちのすれ違いを描きたいと強く思ったのがはじまりです。

観客:
家庭環境の厳しさや、人物の繊細な心理を表現するために画面の演出で考えたことはなんですか?

片野坂監督:
日常のシーンでは匂いが伝わるほどのリアリティある背景を作りこみました。また反対に、べんちゃんとのシーンは湊にとって心のよりどころや安心できる場所として描こうと思いました。

観客:
湊を見ていて、普通、映画で子どもを描くときには純粋な姿として表現されることが多いと思うのですが、今回はホラー映画を思わせるような姿もあって、少し驚きました。一方で、湊が連れてきた別の子どもは、とても純粋な姿として描かれていました。監督は子どもの中に、悪いことをしてしまうような面を見る一方で、純粋な面も見ているように感じました。監督自身は、子どもという存在をどのように捉えているのでしょうか。また、それを映画の中でどのように表現したかったのか聞かせてください。

片野坂監督:
ありがとうございます。僕は邪悪とか、悪いように描こうとは思っていなくて、純粋な子どもだからこそ悪にもなれるし、ものすごく純粋な…そうですね、純粋だからこそ、環境によって形は変わる。そういった子どもの素直さを描こうとしたら、こうなった、ということです。

観客:
映画では、声を担当されている皆さんが、それぞれのキャラクターの感情に合わせて演技をされていました。声優をキャスティングする際に、「このキャラクターにはこの人が合う」と決めることになったきっかけはありますか?

片野坂監督:
ありがとうございます。湊を演じたあのさんはアーティスト、ミュージシャンなんですよね。いろんな声を出すことができていて、すごく若い人たちの痛みを歌にしているんですよ。
そういった人間の心の痛みとか、そういったものを心から表現できる方だと思い、主演のあのさんをプロデューサーの新井さんが僕に提案してくださって、僕も彼女のファンだったのでオファーしました。